- 令和8年度改定で、在宅薬学総合体制加算1は15点から30点、加算2は個人宅(イ)が50点から100点、個人宅以外(ロ)が50点のままです。
- 加算1の実績要件は、令和6年度の「24回以上/年」から「48回以上/年」に引き上げられています。
背景:何を評価する加算か
在宅薬学総合体制加算は、在宅患者に対する薬学的管理及び指導を行うために必要な体制を評価する、調剤基本料の加算です。在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、または介護保険の居宅療養管理指導費・介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者等が提出する処方箋を受け付けて調剤した場合に算定できます。
令和8年度の改定概要は、この加算を「薬局による在宅医療提供体制の整備促進に係る評価の見直し」の中で、「要件強化及び評価の引上げ」と位置づけています。加算2は「十分な実績を有する薬局」を対象とし、個人宅への訪問と、それ以外の訪問を点数で区分しました。
出典: 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(確認日 2026-10-22)。
点数の変更(現行から改定後)
| 区分 | 現行(令和6年度) | 改定後(令和8年度) |
|---|---|---|
| 在宅薬学総合体制加算1 | 15点 | 30点 |
| 在宅薬学総合体制加算2 イ(単一建物診療患者または単一建物居住者が1人) | 50点(イ・ロの区分なし) | 100点 |
| 在宅薬学総合体制加算2 ロ(イ以外) | 50点(イ・ロの区分なし) | 50点 |
加算2のイは、個人宅の訪問への評価として新設された区分です。改定概要は「個人宅への在宅訪問時の評価100点を新設」と説明しています。
加算1の施設基準
改定概要の記載は次のとおりです。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出
- 訪問薬剤管理指導の実績 48回以上/年。 令和6年度の届出書では24回以上/年でした(下の比較表)。
- 開局時間外における在宅業務対応(在宅協力薬局との連携を含む)
- 在宅業務実施体制に係る地域への周知
- 在宅業務に関する研修(改定概要は認知症・緩和医療・ターミナルケアと書く。届出通知は研修実施計画の作成と、外部の学術研修の受講を求め、認知症・緩和医療・意思決定支援等を含むことが望ましいとする)および学会等への参加
- 医療材料および衛生材料の供給体制
- 麻薬小売業者の免許の取得
- 服薬管理指導料の「注1」に規定する服薬管理指導を行う旨の届出
加算2の施設基準
加算2は、加算1の施設基準をすべて満たしたうえで、次の4つを満たす必要があります(改定概要の記載)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 実績(ア または イ) | ア: 個人宅等の訪問薬剤指導の実績240回以上で、訪問薬剤指導の実績のうち個人宅等の占める割合が2割を超える。 イ: 個人宅等の実績480回以上で、その割合が1割を超える(割合は届出通知の「超える」の表記。改定概要は「以上」と書く) |
| 体制(ア・イ・ウのいずれか) | ア 訪問時の医療用麻薬に関する指導実績10回/年。 イ 無菌製剤処理加算の算定実績1回/年。 ウ 小児在宅患者に対する体制(小児特定加算および乳幼児加算の算定回数の合計6回以上/年) |
| 薬剤師の人数 | 常勤換算で3名以上の保険薬剤師が勤務し、開局時間中は原則2名以上の薬剤師が常駐 |
| 許可 | 高度管理医療機器販売業の許可 |
令和6年度の届出書との比較
令和6年度の届出書(様式87の3の5)の、加算1・2の共通の施設基準には「(8)在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績(24回以上/年)」の欄があります。令和8年度の届出書は、直近1年間の訪問薬剤管理指導の実績回数(施設在宅等を含む)を記載する形で、加算2の実績は単一建物診療患者または単一建物居住者等の区分で回数を記載します。
| 項目 | 令和6年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 加算1の実績要件 | 24回以上/年 | 48回以上/年(引き上げ) |
| 加算2の個人宅等の実績 | 未確認(令和6年度の届出書の加算2の欄は、このページでは比べていません) | 240回以上かつ2割を超える、または480回以上かつ1割を超える(届出通知・届出書の表記) |
出典: 令和6年度の届出書(様式87の3の5)、令和8年度の届出書(様式87の3の5)(いずれも九州厚生局掲載、確認日 2026-10-22)。
届出通知の記載(保医発0305第8号 第95)
施設基準の届出通知(令和8年3月5日付の保医発0305第8号)の第95「在宅薬学総合体制加算」を読みました。改定概要と違う、または改定概要に無い点は次のとおりです。
| 項目 | 届出通知の記載 |
|---|---|
| 加算1の48回に数える算定項目 | 在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費・介護予防居宅療養管理指導費(薬局の薬剤師が行うもの。情報通信機器を用いるものを除く)の直近1年間の算定回数の合計。在宅協力薬局として連携した場合(同一グループ薬局への業務を除く)と同等の業務を含む。「同等の業務」には、在宅患者訪問薬剤管理指導料の同一月の算定回数の上限を超えて訪問薬剤管理指導を行った場合を含む |
| 加算2の割合 | 240回の場合は2割を超える、480回の場合は1割を超える(分母は上の5項目の合計。情報通信機器を用いた場合を除く) |
| 加算2の体制要件の数え方 | ア 麻薬管理指導加算、在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算、居宅療養管理指導費(薬剤師)の注3・注7の加算(介護予防を含む)の合計10回以上。イ 薬剤調製料の注2の無菌製剤処理加算が1回以上。ウ 乳幼児加算と小児特定加算(在宅患者訪問薬剤管理指導料・緊急訪問・緊急時等共同指導料に係るもの)の合計6回以上 |
| 薬剤師の人数 | 常勤換算で3名以上。常勤薬剤師の所定労働時間が32時間未満の場合は32時間の勤務をもって常勤1名と換算する。原則として開局時間中は2名以上が常駐 |
| 実績の判定期間 | 届出後は、加算1の回数、加算2の実績(480回・割合)と体制要件(ア〜ウ)を、前年5月1日から当年4月末日までの実績で判定し、当年6月1日から翌年5月末日まで算定できる |
| 届出の様式 | 別添2の様式87の3の5。加算1の届出は「2」の欄、加算2の届出は「2」と「3」の欄を記載する |
出典: 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(保医発0305第8号、別添・様式を含む)(保医発0305第8号の第95、様式87の3の5。確認日 2026-10-23)。
令和8年6月の届出の扱い(経過措置)
| 区分 | 届出通知(第4 経過措置等)の扱い |
|---|---|
| 加算1 | 表3「施設基準の改正された特掲診療料(届出が必要でないもの)」に掲載。令和8年5月31日現在で算定している薬局は、引き続き算定する場合に新たな届出が要らない。ただし、令和8年6月以降の実績で届出内容と異なる事情が生じたときは、変更の届出を行う |
| 加算2 | 表2「施設基準の改正された特掲診療料(届出が必要なもの)」に掲載。令和8年6月1日以降の算定には届出が必要。令和8年6月1日からの算定に係る届出は、令和8年5月7日以降に提出できた |
令和6年6月に加算を届け出た薬局が、令和8年6月以降にどの基準で判定されるかの細部(経過措置期間の適用範囲など)は、このページでは読み切っていません。第4の本文は、経過措置期間は令和8年3月31日時点で改正前の届出を行っている医療機関・薬局にのみ適用される、と書いています。
届出の区分と算定の区分は別
名簿に載る区分は「在薬総1」「在薬総2」の2種類で、加算2のイ・ロの区別は載っていません。イ・ロは、算定する患者の区分です。
加算2を届け出た薬局が、個人宅向けにイを算定しているか、施設向けにロを算定しているかは、名簿からは分かりません。
届出薬局数は都道府県別の届出薬局数、名簿の略称の読み方は届出受理名簿の略称一覧にまとめています。
確認していないこと
- 算定要件を定める通知(令和8年3月5日付の保医発0305第6号)のうち、在宅薬学総合体制加算の部分は、令和8年5月29日付の訂正の事務連絡で読みました(通知の記載と疑義解釈)。施設基準の届出通知(保医発0305第8号)は第95を読みました(上の表)。
- 令和6年6月に受理された届出が、令和8年度の新しい基準でどう扱われるかは、確認できていません。
届出や算定の判断
通知の原文と、管轄の厚生局の案内で確認してください。このサイトは改定概要と届出書の記載の整理です。
よくある質問
在宅薬学総合体制加算1の回数要件は、令和6年度から変わりましたか。
変わっています。令和6年度の届出書(様式87の3の5)では「在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績 24回以上/年」、令和8年度の改定概要では「訪問薬剤管理指導の実績 48回以上/年」で、引き上げです。
加算2のイとロは、届出の区分ですか。
いいえ。イ(単一建物診療患者または単一建物居住者が1人の場合、100点)とロ(それ以外、50点)は、算定する患者の区分です。厚生局の届出受理名簿に載る区分は「在薬総1」「在薬総2」の2種類です。
点数はいくつですか。
改定概要では、加算1が15点から30点、加算2のイ(個人宅)が50点から100点、ロ(個人宅以外)が50点のままです。
加算2の実績は、240回と480回のどちらを満たせばよいですか。
どちらか一方です。240回以上かつ個人宅等の占める割合が2割を超える、または480回以上かつその割合が1割を超える、のいずれかを満たします(届出通知の表記は「超える」。改定概要は「以上」)。加算1の施設基準もすべて満たす必要があります。
この表の要件で、自分の薬局が届出できるかを判断できますか。
できません。このページは改定概要と届出書の記載の整理です。届出の可否と算定の可否は、通知の原文と管轄の厚生局に確認してください。